CO2EOR

炭酸ガス(CO2)の油層への圧入は、油回収量の増加効果に加えて、炭酸ガスの地下貯留により環境問題にも貢献できる注目すべき石油増進回収(EOR)技術です。
一方、炭酸ガスは油よりも軽く、流れ易い(粘性が低い)流体ゆえに、油層の高浸透率部分のみに浸入してしまい、地下に大量の油が取り残されてしまう事があります。そこで当社では、この弱点を克服する技術として、CO2と水を混合し泡(フォーム)を形成させる、あるいはCO2と増粘剤を混合し粘性を上げる事により、CO2単体よりも流れにくい流体にして、地下の油を更に効率的に回収できる特殊技術の研究開発を行っています。

低浸透性貯留層開発

フラクチャリング技術

一般に貯留層の浸透率が低い場合、油ガス生産時、あるいは水やCO2圧入時に、十分な生産量、あるいは圧入量が確保できないといった支障をきたす恐れがあります。当社はこれまで国内外の油ガス田開発を通じて、低浸透性貯留層開発に必須とされるフラクチャリング技術を培ってきました。当該技術開発を更に進め、CO2フラクチャリング・サーマルフラクチャリング等、先進的仕上げ技術の当社既存ガス田における実証プロジェクトの実現を目指しています。

貯留層シミュレーション技術

地下の貯留層をモデル化し、貯留層内の流体(油、ガス、水)がどのように動くかをシミュレーションすることで、坑井数や配置を含めて、より経済的な開発計画を立案できます。ただ、地下を可視化することはできないため、モデル化する貯留層の深度や浸透率分布等には不確実性が存在し、事前の予測と実際の結果が大きく異なることは往々にして起こり得ます。したがって、モデル化する地質シナリオを複数構築し、入力パラメータの幅を考慮した不確実性評価を行った上で、リスク緩和策を含めた開発計画を立案することが必要です。

当社では、効率的な不確実性評価およびそれを踏まえた開発計画策定を行うワークフローの開発に取り組んでいます。評価の中で数多くのモデルを作成する必要があり、貯留層モデルの予測が実測データに合うようにモデルの補正を行うヒストリーマッチングを人の手で行うことは容易ではありません。そこで当社は自動ヒストリーマッチング技術を組み合わせたワークフローを構築し、大幅な作業時間の短縮を達成しました。このような取り組みにより、貯留層リスクの理解と精度を高め、リスクマネジメントを効果的に導入した油ガス田の開発を行っています。

  • 自動ヒストリーマッチングを活用した不確実性評価ワークフロー

参考文献

Narumi R., Iizuka R., Miyazaki T. et al., Demonstration of a Practical Ensemble-Based Reservoir Modelling Workflow for Development Planning on the Ichthys Gas-Condensate Field

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