当社は、2050年のネットゼロカーボン社会の実現に向け、水素・CCUS事業開発本部を中心として水素・アンモニア事業に注力しています。
取組みの一つとして、新潟県柏崎市にブルー水素※・アンモニア製造実証プラントを建設し、2025年の運転開始を目指し準備を進めています(下記写真参照)。原料となるガスは新潟県内で当社が操業する南長岡ガス田からの国産天然ガスを利用します。また、製造の際に副次的に発生するCO2は、既にガス生産を終了した東柏崎ガス田平井地区の貯留層へ圧入(CCUS)し、大気への排出量を抑えます。
このようにして製造した水素はブルー水素と呼ばれ、本実証試験で製造したブルー水素は水素発電設備を通して新潟県内に電力として供給します。また、一部ブルー水素からブルーアンモニアを製造し、新潟県内の需要家様への供給を目指します。当社がこれまで培ってきた天然ガス関連設備の操業や井戸の掘削に関する経験、地下や井戸のモニタリングに関する技術、CO2回収・CO2圧入に関する技術の知見を活かしながら、プロジェクトを実施していきます。本実証試験の成果を元に、米国におけるクリーンアンモニア製造事業をはじめ、国内外で新規事業を推進していきます。
さらには、水素サプライチェーンの重要要素である輸送・貯蔵技術については、I-RHEXの技術課題の一つとして探求していきます。
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メタネーション
メタネーションとは、二酸化炭素と水素を反応させ都市ガスの主成分であるメタンを生成する技術です。特に、再生可能エネルギーを用いて製造されたグリーン水素等、非化石エネルギー源を原料とするカーボンニュートラルな合成メタンはe-メタンと呼ばれます。e-メタンは、既存インフラを利用し需要家に供給することができるため、大きなインフラコストを投入することなく電化が難しい分野も含めた社会の脱炭素化に寄与します。
経済産業省が2021年10月に公表した第6次エネルギー基本計画、及びこれに先んじて関係省庁と連携して2021年6月に公表された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、次世代熱エネルギー産業の取組の一つにガスの脱炭素化が位置付けられ、2030年までに既存インフラへ合成メタンを1%注入することが目標として掲げられています。
当社は、新潟県長岡市のINPEX JAPAN長岡鉱場越路原プラント内で、生産されるガスに随伴して排出される二酸化炭素8Nm3/hを利用したメタネーションの基盤技術開発事業の試験※1を2017年から2021年まで実施しました。また、同プラント近傍で400Nm3-CO2/hのメタネーション実用化技術開発事業※2を2021年から開始し、2025年度には既存パイプラインへ合成メタンを注入する予定で、建設工事を進めています(下記写真参照)。また、大型化に向けた技術開発及びスケールアップを行い、2030年代を目途に10,000Nm3-CO2/hスケール、年間6万トン程度の合成メタンを製造し、当社のパイプラインで供給することを目指しています。
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※1NEDO委託事業「次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2有効利用技術開発」
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※2NEDO課題設定型産業技術開発費助成事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/気体燃料へのCO2利用技術開発/大規模なCO2-メタネーションシステムを用いた導管注入の実用化技術開発」
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