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火力発電所でも、石炭・石油・天然ガスなどの燃料を燃やして発電しており、
天然ガスは、電気エネルギーの燃料としても利用されています。
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天然ガスはパイプラインのある場所であれば、水と同じようにガス栓をひねれば、
すぐに燃料として利用することができます。
近年は、天然ガスをさらに上手に利用しようと、注目が集まっています。
新しい技術が次々に開発され、ガスが活躍する場はいま、こんなに広がっています。
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天然ガス自動車は、ガソリン車にくらべて大気汚染の原因となる排出物質が40%以下なので、空気をよごさず環境にやさしい車とされています。
日本では1984(昭和59)年に、小型のトラックを改造した天然ガス自動車の第一号が走り始めました。
その後、1990(平成2)年には、天然ガス自動車を広める取り組みが始まり、政府のあとおしなどもあり、天然ガス自動車に関係する法律もしだいに整ってきました。それに種類も乗用車だけでなく、バス・トラック・フォークリフトなどいろいろと増えて、1997(平成9)年には全国で約2,100台であったのが、2012(平成24)年には約42,600台となり、急速に広まっています。
INPEXは、天然ガス自動車を積極的に使って、環境にやさしい天然ガス自動車の普及にむけて取りくんでいます。
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1981(昭和56)年、東京代々木の国立競技場に、日本で初めて都市ガスによるガス・コージェネレーション・システムが取り入れられました。
ガス・コージェネレーション・システムとは、天然ガスを燃料にしたガスエンジンやガスタービンを動かし、電気と同時に熱を得るしくみのことです。
このシステムなら、今まで電気をつくるときに捨てられていた熱エネルギーもお湯をわかしたり、冷暖房につかったりして、無駄なく大切につかうことができるのです。これまでよりも2倍以上のエネルギーの有効利用ができます。
INPEXも、新潟県上越市に建設した社員寮にガス・コージェネレーション・システムを取り入れています。
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ふつう、冷暖房は、液体が気化する時にまわりの熱を奪い、また液化する時には熱を発生するという性質を利用して行われます。ガス空調とはその流体を加熱したり流したりするときにガスを使うしくみのことです。
このしくみを使うことにより、消費電力は電気エアコンの約10分の1ですむため、新築のビルでは半数以上が天然ガスによる冷暖房を取り入れています。
ガス空調機は小さくて場所をとらず、簡単に冷暖房ができるという手軽さもあり、ますます広まることでしょう。
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燃料電池とは、水の電気分解とは逆の化学反応を利用して、燃料(おもに天然ガス)から取り出した水素と空気中の酸素を使って電気化学反応させることで発電するしくみです。今までの発電のしくみと比べて、より効率よく電気を作り出すことができるのが魅力です。
また、排出されるのは主に水だけで、エンジンやタービンのように騒音・振動も発生しないので、ビルやホテル、病院など都市の自家発電や冷暖房にはぴったりの装置といえます。これをガス・コージェネレーション・システムに組込めば、エネルギーの効率は一段とアップします。21世紀には、このしくみを使った自動車や家庭用発電機が広がることでしょう。
ここでもまた、燃料として天然ガスが注目されています。