INPEXデジタル戦略 〜デジタルの力で変革へ挑む〜

INPEXは、デジタル技術を活用し、エネルギー業界の新たな価値創造に挑戦します。

戦略の背景・目的

外部・内部環境の変化

近年、生成AIの爆発的な普及や社会実装の加速により、AI活用は企業競争力の前提条件となっています。また、構造的な人手不足や高齢化、クラウドシフトの進展、ITコストの増大など、当社を取り巻く環境は大きく変化しています。この環境変化に立ち向かいつつ、Vision2035を実現するため、INPEXデジタル戦略としてデジタル人材育成や基幹システム刷新、ITガバナンス強化、サイバーセキュリティ高度化など、さまざまな取り組みを推進しています。

デジタル技術の徹底活用によるVision実現

私たちはデジタル戦略を推進するために、デジタルが課題解決に貢献できる領域を「技術」「操業・保全・HSE」「業務効率化」「知の伝承・獲得」の4つに定めました。この領域に対して重点的にデジタル化を推進することで、デジタルによる課題解決並びにVisionの早期実現を狙います。

デジタル戦略3つの柱

課題解決の必要な領域に対しデジタルの力で変革へ挑むために、デジタル戦略3つの柱を掲げます。この3つの柱を浸透させることにより、データ利活用の重要性を浸透させ、会社全体の価値向上に貢献します。

1. 埋もれたデータを「INPEXの力」へ

  • 社内に散在する未活用データを掘り起こし、統合・構造化することで、必要な人が瞬時に活用できる“価値ある資産”へと変換します。
  • これにより、現場から経営まで、データを起点とした迅速な意思決定を実現します。
  • さらに、長年培ってきた知見をデジタルで体系化し、次世代へ継承します。

2. 膨大なデータを「未来の資源」へ

  • 長年にわたり蓄積してきた地質・開発・操業・保全データを、AIや先進技術で解析し、新たなエネルギー資源の発見や生産効率の飛躍的向上、低炭素社会の実現に貢献します。
  • 地下技術とデジタル技術を融合し、GHG排出量の可視化・最適化を実現するとともに、CCS事業における地下貯留層の高精度モニタリングで低炭素社会の実現に貢献します。

3. データを用いた自動化で「創造性ある働き方」へ

  • これまで人が担ってきた定型業務を含む業務プロセスを、データ活用を前提とした業務設計と、標準化・デジタル化・自動化の推進により抜本的に変革します。
  • 人にしかできない非定型業務や高付加価値業務へのリソースシフトを促進し、生産性と創造性を最大限に発揮できる環境を整えます。
  • テクノロジーと人の力を融合し、人材価値を最大化することで、INPEXの競争力を強化します。

デジタル戦略の目指す60-60

Vision60-60を達成するため、ありたい姿「デジタル60-60」を目指します。

作業にかかる時間を60%削減し、考える時間を創出します

Vision2035で掲げた「作業」時間を「考えて、創り出す」時間への転換を実現するため、各部門が定期的に行う集計作業・KPI算出等の自動化を徹底し、よりAIを用いた分析・新しいアイデアを創り出す時間とします。

社員1人当たり1週間の業務時間推移イメージ

定型業務の60%を自動化し、高付加価値業務にシフトします

AI・データ活用や先進技術を活用し従来の労働集約的な業務の自動化・半自動化を推進します。全業務のうち60%を対象に、ルールベース処理やAIによる意思決定支援を導入し、業務効率と精度の向上を図ります。

AIを導入するワークフロー(上記はイメージ)を各本部と共に決定し、60%以上展開

デジタル戦略実現へのステップ

デジタル戦略の実現に向け、Step1-3にかけての取り組みを推進し、INPEXグループ全体でデジタル戦略を実現します。
埋もれたデータの可視化・構造化を進めることで、生産性向上や新たな資源の発見につなげます。さらに、多角的な教育施策、業務プロセス自動化を通じて創造的な時間を生み出し、INPEXの人材価値を最大限に引き出します。

取り組み事例

1. 埋もれたデータを「INPEXの力」へ

規程・ガイドライン検索の革新、知識の共有

社内に点在する規程・ルール・技術ガイドラインなどへのアクセスや内容の理解は、業務効率化における大きな課題でした。これを解決するため、生成AIを用いた検索や問い合わせが可能なアプリケーションを開発し、社員全員が必要な情報を迅速かつ的確に取得できる環境を整備しました。

今後は、内製開発・市民開発の取り組みと連携しながら、より広範な社内情報や技術知見へのアクセスを可能にする機能へと拡張していきます。これにより、知識の分散を防ぎ、社員一人ひとりがデータを活用して意思決定を加速できる環境を構築していきます。

AIを用いたサイバーレジリエンス

万一の侵入を想定し、早期の発見と適切な対処、そして迅速な復旧を優先したAIと脅威インテリジェンスを融合した統合型セキュリティ運用は、人間の判断力と機械の処理速度・拡張性を相互補完的に活用できる持続可能なセキュリティ体制の基盤となります。この先進的なアプローチは、当社の事業継続性と社会的信頼性を一層高める不可欠な要素です。
具体的には、次のような革新的機能が実現可能となります:

  • 生成AIを活用したインシデント調査の高速化・高度化
  • 精緻かつ包括的な初動手順の自動化および提案によるインシデント対応の標準化
  • 機械学習アルゴリズムによる脅威および異常の早期検知システム
  • 多種多様なログデータの自動相関分析と統合的な解釈

これらのAI技術がセキュリティ運用の各段階で人間の意思決定プロセスを支援することで、人間は判断に集中し、限られた人的リソースでも高品質かつ均質なインシデント対応の能力を有するセキュリティ体制の整備を実現します。人間とAIの強みを最適かつ積極的に組み合わせることで、サイバーセキュリティにおける当社としての理想的な未来の実現を目指します。

2. 膨大なデータを「未来の資源」へ

スマートファシリティによる現場作業の可視化、デジタルツイン構築

イクシスプロジェクトの洋上施設(CPF)において、ドローンと定点カメラを用いた3Dスキャンを実施し、作成した3Dモデルにより、足場を必要とする現場確認作業を不要とするなど、作業効率と安全性の向上に効果をもたらしています。将来的には3Dモデルを活用したデジタルツインの構築を行い、高度なデータ管理やシミュレーションを実現し、OT(Operational Technology)とのデータ連携も行いながら現場作業の計画の最適化やシチュエーショナルアウェアネス(状況認識:現場で起こっている状況を適切に認識させること)による操業の安全性の向上を目指します。

AIを用いた廃棄物管理

クラウド基盤を活用したデータプラットフォームを構築し、廃棄物データの処理業務を自動化しました。GRI306基準への対応で月間50時間に増大していた作業時間を約1時間に短縮。AIによる電子マニフェストや請求書からのデータ抽出・分類の自動化により、HSE部門が本来の施策立案業務に注力できる環境を整備しました。今後はグローバルなデータ基盤として展開し、重要データの収集報告業務の自動化を進めていきます。

3. データを用いた自動化で「創造性ある働き方」へ

責任あるAIの活用に関するポリシー整備

データ・AIの利活用を安心・安全に推進するため、社内規程を改定して責任あるAIの活用に関するポリシーを整備し、情報セキュリティ委員会の討議を経て、取締役専務執行役員技術統括本部長により決議されました。
このポリシーでは、信頼できる外部AIサービスを利用対象とし、EU AI Actで禁止される用途を含め、個人の権利や尊厳を侵害するおそれのあるAIの利用を行わないことを基本方針としています。
また、AIの判断や利用が不透明または不適切なものとならないよう、生成物に対しては人による管理・監督を徹底し、生成物の正確性・適法性の確認、関連法令・利用規約の遵守、インシデント発生時の迅速な報告・対応などの基本原則を明確化しています。また、国際標準や各国の制度に整合しながら、次世代SOCの強化等、AIを含む先進技術でサイバーレジリエンスを高め、安心して活用できる全社的なデジタル基盤づくりを進めています。

デジタル人材育成、デジタルアカデミー・デジタルアンバサダー

AIの実務活用に関する社内浸透施策:AIRやUdemy Businessによるリテラシー講座を統合し、「INPEXデジタルアカデミー」を発足しました。基礎から実践まで体系的な学習機会を提供し、AIとデータを使いこなす人材の育成を加速しています。あわせて、社内公募の「デジタルアンバサダー」制度を開始し、各部門の業務課題のデジタル解決を現場主導で推進。現場起点の取り組みを全社へ横展開し、「AI for Everyone」と創造性ある働き方の実現を目指します。

推進体制・ガバナンス

デジタル技術の活用にはデジタルスキルを持つ人材の育成が必要不可欠です。全職員向けのデジタルリテラシー教育に加え、経営層向けのデジタル技術講演などを行い、経営から現場まで全役職員がAIを使いこなす「AI for Everyone」を推進する体制を整えています。

また、経営およびユーザー部門であるコーポレート部門・事業本部・操業部門と技術統括本部が三位一体となり、全社的なデータ活用・人材育成・基盤整備を進めます。これらの取り組みは、情報セキュリティ最高責任者である取締役専務執行役員技術統括本部長の監督責任の下、厳格なガバナンス体制とリスク管理プロセスを確立し、全社的なデジタル変革を安全かつ持続的に推進します。

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